電球色?昼白色? お部屋の印象を劇的に変える光の色と明るさの関係
ほとんどの人は電球色と昼白色の違いを、何となーく分かっていますし、電球色は暗い、昼白色は明るいというイメージを持っているようですね。
インターネットで電球色や昼白色で調べてみても、「落ち着いた空間つくりには電球色がおすすめ」、「電球色はリラックスできますよー」とか「昼白色は明るくて活動的なお部屋になります」、「太陽光のようなさわやかな空間には昼白色」というような内容がたくさん書かれていますね。
でも、これらの説明だけを鵜呑みにしてお部屋の照明を決めてしまうと、できあがったお部屋が「なんかイメージと違ったな、どうして??」ということになってしまいます。
そうならないためにも、今回お話する、電球色と昼白色の本当の使い方を理解してからお部屋の電球を交換したり、これから新築やリフォームをするのであれば照明計画の取り込んでみたりすることで、「イメージと違った」といった失敗を未然に防げます。
では、さっそくはじめましょう!
電球、ランプの色の種類
家庭で使われる照明の光の色は電球色、温白色、昼白色、昼光色などです。その中でも圧倒的に多く使われている色が、電球色と昼白色です。なので今回はこれらの2種類の色、電球色(でんきゅうしょく)と昼白色(ちゅうはくしょく)について詳しくみていきたいと思います。
光の色合いを表す色温度とは?
少し専門的な話になりますが、光の色合いを表す数値というものがあって、それが色温度といいます。単位がK(ケルビン)です。
光の色と色温度の関係は上の図のようになっていて、電球色が2700K~3000K、昼白色が5000K~5200Kのように表されます。ちなみに、温白色は3500Kで昼光色は6000K~6500K、昼間の太陽光は5000K~6000Kで、日没前の夕日が2800Kになります。
お部屋のイメージを左右する色温度と照度
人は、光の色に対してイメージを持っています。
上の図のように、
電球色に対するイメージは、落ち着いた雰囲気、暖かい、リラックス、高級感、暗い、
昼白色に対するイメージでは、活動的な雰囲気、自然な光、クールでさわやか、普通の光、明るい、
といったところでしょう。これらは、あくまでもイメージですので、必ずイメージ通りになるとは限りません。次の写真を見てください。
左が電球色(3000K)、右が昼白色(5000K)の空間です。。。
左の写真の空間ではリラックスできそうですか? 落ち着いてくつろげる空間ですか?
逆に暑苦しくて落ち着かないですね。
右の写真ではどうでしょうか。
明るくて活動的な雰囲気になっていますか? クールでさわやかですか?
陰気くさくて寂しい空間ですね。
よくありますよね、こんな雰囲気のオフィス。お役所関係とか。
もうお分かりでしょうか。
お部屋のイメージを決めるのは、光の色だけではないんです。もうひとつの大切な要素が明るさ(照度)です。
色温度と照度の関係を表した クルイトフの快適カーブ
こちらのグラフは、オランダのクルイトフさんという物理学者が1941年に発表したもので、人が心理的に快適に感じる、明るさ(照度)と光の色(色温度)の関係を表しています。クルイトフの快適カーブとか快適曲線といわれることもあります。
照度と色温度の値が交わる交点がどこにくるかで、その空間が人の心理に与えるイメージがわかるというグラフです。
例えば、色温度が5000Kで明るさが100ルクス(lx)の空間の場合は下の図のようになり、陰気で寒々しいイメージになるということです。(先ほどの写真の右側のような空間)
逆に、色温度が3000Kで明るさが500ルクス(lx)では、
ちょっと暑苦しい空間ですね。(先ほどの写真の左側のような空間)
この快適カーブもあくまでも指標ですが、大変参考になるデータです。僕も照明設計をする時には参考にすることが多いですよ。
快適な空間をつくるには
では、実際に快適な空間にするためにどうすれば良いのか、ということを説明します。
家庭で使われている光の色は電球色(2700K~3000K)と昼白色(5000K~5200K)がほとんどですので、その2種類だけ覚えてしまいましょう。
クルイトフの快適カーブを参考に、
電球色のときには、だいたい80ルクス~400ルクスが快適な空間になり、
昼白色のときは、500ルクス以上が快適な空間の目安になります。
ここでまた、注意が必要で、
お部屋の形、内装、インテリア、材質、色など、いろんな要素からお部屋の印象が決まります。明るさ感や雰囲気の感じ方も人それぞれの感覚ですので、ここでお話している照度の値(ルクス)は参考としてとらえてください。照明ってデリケートなんです。笑
とにかく、照明の、光の色と明るさの関係でお部屋の印象が劇的に変わるということを、ぜひ覚えておいてください。
まとめ
家庭で使われる電球、ランプの光の色は、電球色、温白色、昼白色、昼光色の4種類でしたね。その中でも電球色と昼白色の2種類が一般的。インターネット上の情報では「家庭では電球色、昼白色、昼光色の3種類が使われます」と書いてあるWEBサイトが多いですが、昼光色を家庭で使うことは多くはありません。
追記:2019年ころから急に昼光色のシーリングライトやLED電球が増えてきました。理由は文字がくっきりみえるのは昼光色が適していると、大手メーカーがそろって言い出したからです。それにより、勉強や読書には昼光色が最適と思われるれるようになりました。ですが、ご家庭の照明の光の色を、すべて昼光色にするのはお勧めできません。青白く冷たい感じになってしまいます。住宅の照明は基本的に電球色か昼白色に統一し、デスクスタンドだけを昼光色にするなど、部分的な使用が好ましいですね。
そして、お部屋の印象を決めるのは光の色だけではなく、明るさも大切です。お部屋の照明を変えるときには、色温度と照度の関係を思い出してください。
今回お話した内容は、プロの方でもきちんと理解している人は少ない内容です。光の色が人の心理にどう影響するのかを考え、適切な光の色と明るさの関係にすることは照明設計する上でとても大切ですので、快適なお部屋つくりにぜひ役立ててくださいね。
では!